授業の概要 / Course overview
本授業では、学生が国際的に活躍できるようになるため、設定したテーマに関して学生同士が国際的に共創して事業提案を行います。
授業を通して、これからの時代の潮流の理解、学生が解決したい課題の発見、課題の解決策の検討、ビジネスモデルの構築、事業の提案を行えるよう、テーマ、イノベーション、ビジネスモデルに関する知識、国際機関に従事するグローバルリーダー、スタートアップ、イノベーションアクセラレーター、ベンチャーキャピタルの方との対話型セッション(インプットに基づく対話型でのセッション)などの多様な学習機会を提供します。
シンガポールやオーストラリアなど海外の学生も含めた形で実施する予定で、基本的に英語で授業が行われますが、事業を立案するためのグループについては同じ国の人同士で形成することも可能なので、議論自体は日本語でも可能な環境を用意する予定です。 学生はこれらの活動を通して、これからの時代に必要不可欠となる、仲間と共創する力、イノベーションを創造する力、国際的な仲間と関係性を創り出す力などを培うと同時に、これからの時代の潮流、日本と他国の社会・経済・環境の現状・未来、そして、国際的な共創活動を通じた自分の新たな可能性への理解を深めることができます。学生の間は特にいっぱい挑戦していっぱい失敗できる時期なので、是非本授業を国際的に活動する練習の場として利用してもらえればと思います。
授業テーマ / Challenge Statement
Innovation for Well-being
– GDPを超える世界を創り出す挑戦 –
本授業テーマは「Innovation for Well-being -GDPを超える世界を創り出す挑戦-」です。
これまでは経済成長に重きが置かれる時代でした。人類は資本主義を発明し、資本主義の象徴でもある経済合理性・経済指標(GDPや売上・利益など)を追求し、経済を成長させ、人々の生活を豊かにしてきました。ただその結果として、短期的に儲からないこと、規模が取れないこと、効率がよくないことはしない傾向がありました。そのため、貧困と飢餓、地球環境の悪化、拡大し続ける格差など、経済成長のみにフォーカスをしていては解決できない本質的な課題が、我々の目の前に押し寄せてきています。
そうした背景において、世界では「Well-Being」への注目と期待が高まっています。一人ひとりが身体的にも、精神的にも、社会的にも、健康であり、良好であり、幸せであり、人間らしくあり、豊かであるという「Well-Being」を誰一人取り残さず全員が享受できることが重要です。また、「Well-Being」は従来型の資本主義を進化させるための重要な軸であり、Beyond GDPの世界を構築する軸(国家の転換軸)としての可能性にまで言及されるようになってきています。これからの時代の中核的な概念であることは間違いありません。
本授業では、まさに今の世界の大きな潮流、そして、そこに内在する本質的な論点を対象とした授業としてデザインしています。「GDPを超える世界」というのは象徴的な表現です。本質的には、これまでの時代の従来型の資本主義の考え方のみにとらわれず、これまでの時代 / これからの時代に対する世界の考え方を理解し、これからの時代の未来を創り出す世界中のリーダー達とのイノベーションの共創機会を提供するものです。「Innovation for Well-being」とは、これからの時代の一人一人にとって本質的に意義を追求するイノベーションであり、国家・地域・企業などの多様なステークホルダー、世界中のリーダー達が注目し、国際連携・国際共創の軸になるイノベーションであり、学生の時から学ぶ価値のある、挑戦する意義のあるテーマです。
これまではどのような時代だったのか、これからはどのような時代になるのか、これからの時代の一人一人の目的とは何なのか、それを支える国家・企業・地域、そして、社会・経済・環境はどうあるべきなのか、これからの時代のイノベーションとは何なのか、そういったことを仲間と共に学び、対話しながら、課題解決・未来創造を実践していきます。
キーワード / Keywords
イノベーション、サステナビリティ、ウェルビーイング、ビジネスモデル、国際共創、アクティブラーニング、これからの時代の働き方・生き方、自己探求・自己発見
担当教員 / Teaching staffs
吉田塁(東京大学 大学院工学系研究科 准教授) / Lui Yoshida, Associate Professor, Graduate School of Engineering, the University of Tokyo
辻悠佑(Director, ICMG Pte Ltd / ICMG Co.,Ltd.)/ Yusuke Tsuji, Director, ICMG Pte Ltd / ICMG Co.,Ltd.)
授業計画 / Course schedule
進捗によって一部変わる可能性もありますが、以下の流れを予定しています。
第1回 ガイダンス・Innovation for Well-being に関する対話型セッション / Class 1: Guidance
第2回 これからの時代のイノベーション概論 / Class 2: What is Innovation?
第3回 テーマに関する調査(ディープリサーチスプリント)/ Class 3:
第4回 チャレンジテーマデザイン / Class 4:
第5回 ビジネスモデル仮説構築 / Class 5:
第6回 これからの時代のリーダーシップ概論 / Class 6:
第7回 イノベーションチームビルディング / Class 7:
第8回 スタートアップとの対話型セッション① / Class 8:
第9回 スタートアップとの対話型セッション② / Class 9:
第10回 事業案のピアレビュー / Class 10:
第11回 アクセラレータ・ベンチャーキャピタルとの対話型セッション / Class 11:
第12回 事業案のブラッシュアップ / Class 12:
第13回 最終発表(この日のみ16:50~19:00) / Class 13:
第1回では、本授業の概要説明、連携国や機関の紹介などガイダンスを行った上で、対話型セッションを通して授業テーマである「Innovation for Well-being -GDPを超える世界を創り出す-」について学びます。対話型セッションでは国際連合開発計画(UNDP)の方から世界の動向も含めて情報提供をしていただき、他国の学生と共に気づきや学びを深めるためのグループワークを実施します。
第2回では、これからの時代のイノベーションについて理解を深めます。これからの時代はどうなるのか? イノベーションとは何か? なぜイノベーションなのか? ビジネスモデルとはなにか? など、イノベーションに関連する情報を提供して、イノベーションの理解を深めるためのグループワークを行います。
第3回では、今回の授業テーマである「Innovation for Well-being -GDPを超える世界を創り出す挑戦-」の理解を深めるためのディープリサーチを行います。Well-beingに関係して包括的な視点(社会・経済・環境の視点など)でのこれからの時代の基軸となりうる考え方、多様な形態のイノベーション(国家主導のトップダウン型イノベーション、スタートアップ主導のボトムアップ型イノベーションなど)に関してデジタルをフル活用して情報収集してもらい、全体共有した後、Well-beingに関連する事業やスタートアップを調べてもらう予定です。教員からも適宜情報共有します。
第4回では、これまでに調べたこと、学んできたことを参考に、学生それぞれがチャレンジしたいより具体的なテーマを探っていきます。その際、チャレンジテーマを見つける方法論を提示し、それに関連したワークを行うことで課題を見つけてもらいやすくする予定です。
第5回では、チャレンジテーマを事業に落とし込むときに重要なビジネスモデルについて理解を深めます。イノベーションネーション(イノベーション国家)であるシンガポールにて共創型イノベーション活動をしているアクセラレータとの対話セッションに基づき、他国の学生とアイデアを洗練させながらビジネスモデルを創るグループワークを実施します。
第6回では、これからの時代のイノベーションおいて重要なリーダーシップについて理解を深めます。リーダーシップに関わる概論を説明した後、リーダーシップに関するグループワークを行います。
第7回では、学生のチャレンジテーマをベースに、最終発表にて事業提案を行うチームを編成します。この際、同じ国・異なる国の人同士の方が良いなど希望をふまえてチーム分けする予定です。
第8、9回では、スタートアップに携わっている方との対話型セッションを実施し、最終発表で事業提案する際の参考にしてもらう予定です。また、実際に講演者に学生のアイデアを見てもらってフィードバックをもらう機会も提供する予定です。
第10回では、学生同士でそれぞれの事業提案の相互評価(ピアレビュー)を行います。その際には、どこを重視して提案を作ればよいかなどの評価指標も合わせて共有する予定です。
第11回では、事業を推進するアクセラレータ・ベンチャーキャピタルとの対話型セッションを実施し、事業提案に関する理解を深めてもらいます。その際、実際に講演者に学生のアイデアを見てもらってフィードバックをもらう機会も提供する予定です。
第12回では、これまでに学んだことをふまえて、提案する事業のブラッシュアップを行います。また、リーダーシップについても再考するワークを行い、自己理解を深めた上で最終発表に臨んでもらいます。
第13回では、最終発表として事業提案を行ってもらいます。その際、起業家、アクセラレータ・ベンチャーキャピタルの方などを審査員として各事業を評価してもらう予定です。
授業方法 / Teaching methodology
・本授業は、インプット重視型ではなく、アウトプット重視型として実施します。本授業に関わる基本的なインプットは授業外にも実施してもらう予定です。インプットとしては資料のみならずリンク集(記事やYouTubeなど)をオンラインで共有します。
・本授業では、全体を通じた学び(テーマに対する学びのみならず、自分自身の可能性への学びを含む)を重視します。よって、受講生同志の学びも含めて、ペアワークやグループワークで学ぶ機会を多く作ります。
・全て Zoom を用いたリアルアイムのオンライン授業の予定です。Zoom の URL については、UTAS をご確認ください。
・全ての授業は録画して授業後に確認できるようにします。
成績評価 / Evaluation
本授業は、最終的な成果物に加えて、授業自体への主体的・能動的な姿勢、各プロセスにおける共創活動へのリード・貢献、全体に対する存在価値(授業全体やチームへのいい影響力)などを総合して評価します。
問い合わせ先 / Contact
innovation-for-well-being[at]googlegroups.com ([at]を@に変換してください / Please convert [at] to @)