活動内容
飛行ロボットプロジェクトは、学生が講義で学んだ知識を用いて、学生自らが飛行ロボット(遠隔操縦・自動操縦技術を用いた無人航空機・マルチコプター)を設計・製作して試験するプロセスを、4か月で体験する講義である。実際に製作および試験を行うことによって知識を実際のモノとする楽しさ、難しさを実感できるとともに、チームでの活動を通してプロジェクトマネジメントの重要さを経験する講義となっている。2022年度は新型コロナウイルス感染症の影響があり両学期とも感染症対策に注意を払い、また製作作業は安全に十分に配慮して対面形式で実施された。
講義は4つの段階に分かれている。
①航空工学の基礎知識・飛行ロボット設計に関する講義
②設計図作成とレビュー
③飛行ロボットの製作
④試験飛行による飛行ロボットの評価
これら4つの段階においてTAのサポートを受けながら、学生たちは自分たちが作りたい飛行ロボットの設計・製作・試験を進めた。
航空工学の基礎知識・飛行ロボット設計に関する講義
全学体験ゼミナール「飛行ロボットを作って飛ばす」を履修する学部1、2年生も加え、まず、航空機・飛行ロボットの設計に関する基礎知識の講義を行った。本プロジェクトを履修する学生は学部生から大学院生まで、また学科・専攻も広く分布しており、学生が持っている知識量にも大きな幅がある。そこで初めに、飛行ロボット設計に必要な知識に絞って講義を行い、学生が作りたい飛行ロボットのイメージを持ってもらった。
設計図作成とレビュー
次に、製作したい機体形状、単翼機、複葉機、全翼機、テールシッター機(垂直離着陸機)、マルチコプターなどごとの3~6名からなるチームに分けた。Sセメスターは7チーム、Aセメスターは5チームに分けられた。ここで、学年と所属学科・専攻が混在するようにした。さまざまな背景を持った学生によるチームにおいて、知識やリーダーシップの面でお互いをサポートし合う形となり、協調的に活動が進むからである。
チーム編成後、チームごとに設計図作成の作業に入る。三面図作成は今後のチームの活動を大きく左右する作業のため、外形のみを記した簡易的な空力設計図と実際に作成する飛行ロボットの詳細設計図を描き、それぞれに入念なフィードバックを行った。
飛行ロボットの製作
製作は工学部13号館136号室で行った。レーザーカッター、3Dプリンタをはじめとする製作に必要な工具を備え、また材料も校費で購入している。これら必要経費はボーイング社による寄附金でまかなわれている。製作過程において、飛行機やマルチコプターとして成立させるために最低限必要なことを抑えながら、時間と仕上がりを考慮して製作に取り組む。多くの学生の感想として、設計した飛行ロボットを精度良く製作することの難しさが挙げられた。

試験飛行による飛行ロボットの評価
製作を完了し、Sセメスターは7月に、Aセメスターは2月に本郷キャンパスの殿下体育館で試験飛行を複数回行った。飛行実験を行って初めて製作時には気が付かなかった気づきと改良点が得られる。試験飛行は間隔を開けて複数回行い、作成した飛行ロボットの問題点を実際に飛行させて洗い出し、機体の改良を行いながら機体の完成度を高めた。
