概要

 屋内で飛行可能な固定翼タイプ、マルチコプタータイプ、またはそれらを融合させたタイプの小型飛行ロボット、およびその制御装置の設計・製作を行う。プロジェクトを通して、航空工学の実践、課題発見・解決能力、プロジェクトマネジメント能力を培う。基準となる機体は日本航空宇宙学会が主催する飛行ロボットコンテストのレギュレーションに沿い、希望者は飛行ロボットコンテストへの出場に向けた活動も行う。また、教養学部1、2年生向けに開講している全学体験ゼミナール「飛行ロボットを作って飛ばす」と同時開講科目である。なお、製作、飛行試験にかかる費用は、ボーイング社「Boeing Higher Education Program」による寄附金でまかなっている。

 

科目情報

科目名 講義題目
主題科目 全学体験ゼミナール 飛行ロボットを作って飛ばす

 
科目名 学期 科目番号
創造的ものづくりプロジェクトIC ‐飛行ロボットプロジェクト‐ 学部3年生S1S2
FEN-CO3g03P2 2023年度開講
創造的ものづくりプロジェクトIIC ‐飛行ロボットプロジェクト‐ 学部3・4年生A1A2
FEN-CO3g33P2
創造的ものづくりプロジェクトIIIC ‐飛行ロボットプロジェクト‐ 学部4年生S1S2 FEN-CO4g63P2    2023年度開講
創造性工学プロジェクトIC ‐飛行ロボットプロジェクト‐ 大学院修士・博士S1S2 3799-503
創造性工学プロジェクトIIC ‐飛行ロボットプロジェクト‐ 大学院修士・博士A1A2 3799-533

 

※最新の開講状況は、シラバス・便覧をご確認ください。

指導教員

土屋武司

活動内容

 飛行ロボットプロジェクトは、学生が講義で学んだ知識を用いて、学生自らが飛行ロボット(遠隔操縦・自動操縦技術を用いた無人航空機・マルチコプター)を設計・製作して試験するプロセスを、4か月で体験する講義である。実際に製作および試験を行うことによって知識を実際のモノとする楽しさ、難しさを実感できるとともに、チームでの活動を通してプロジェクトマネジメントの重要さを経験する講義となっている。2022年度は新型コロナウイルス感染症の影響があり両学期とも感染症対策に注意を払い、また製作作業は安全に十分に配慮して対面形式で実施された。
 講義は4つの段階に分かれている。
①航空工学の基礎知識・飛行ロボット設計に関する講義
②設計図作成とレビュー
③飛行ロボットの製作
④試験飛行による飛行ロボットの評価
これら4つの段階においてTAのサポートを受けながら、学生たちは自分たちが作りたい飛行ロボットの設計・製作・試験を進めた。

航空工学の基礎知識・飛行ロボット設計に関する講義

 全学体験ゼミナール「飛行ロボットを作って飛ばす」を履修する学部1、2年生も加え、まず、航空機・飛行ロボットの設計に関する基礎知識の講義を行った。本プロジェクトを履修する学生は学部生から大学院生まで、また学科・専攻も広く分布しており、学生が持っている知識量にも大きな幅がある。そこで初めに、飛行ロボット設計に必要な知識に絞って講義を行い、学生が作りたい飛行ロボットのイメージを持ってもらった。

設計図作成とレビュー

 次に、製作したい機体形状、単翼機、複葉機、全翼機、テールシッター機(垂直離着陸機)、マルチコプターなどごとの3~6名からなるチームに分けた。Sセメスターは7チーム、Aセメスターは5チームに分けられた。ここで、学年と所属学科・専攻が混在するようにした。さまざまな背景を持った学生によるチームにおいて、知識やリーダーシップの面でお互いをサポートし合う形となり、協調的に活動が進むからである。
 チーム編成後、チームごとに設計図作成の作業に入る。三面図作成は今後のチームの活動を大きく左右する作業のため、外形のみを記した簡易的な空力設計図と実際に作成する飛行ロボットの詳細設計図を描き、それぞれに入念なフィードバックを行った。

飛行ロボットの製作

 製作は工学部13号館136号室で行った。レーザーカッター、3Dプリンタをはじめとする製作に必要な工具を備え、また材料も校費で購入している。これら必要経費はボーイング社による寄附金でまかなわれている。製作過程において、飛行機やマルチコプターとして成立させるために最低限必要なことを抑えながら、時間と仕上がりを考慮して製作に取り組む。多くの学生の感想として、設計した飛行ロボットを精度良く製作することの難しさが挙げられた。

 試験飛行による飛行ロボットの評価

 製作を完了し、Sセメスターは7月に、Aセメスターは2月に本郷キャンパスの殿下体育館で試験飛行を複数回行った。飛行実験を行って初めて製作時には気が付かなかった気づきと改良点が得られる。試験飛行は間隔を開けて複数回行い、作成した飛行ロボットの問題点を実際に飛行させて洗い出し、機体の改良を行いながら機体の完成度を高めた。

学生の声

私たちは、院生2名、学部生2名、計4名のチームで、プロペラ5つ(垂直移動用×4、水平移動用×1)のマルチコプター(立方体)を制作しました。
1. 参加の動機
もともとドローンに興味があったこと、これまで受講してきた授業の中で、初年次ゼミナール(パスタブリッジの制作)など、自分で実際にモノづくりをするといった参加体験型の授業が特に楽しく取り組むことができたことから、自分たちで制作して、それを飛ばすことにより、達成感を得られるのではないかと思ったことなどが参加の動機です。

2. 制作過程
① 大まかな図面作成
② CADによる詳細な図面作成
③ マルチコプター本体の作製
④ ソフトウェア開発
⑤ キャリブレーションの実行などハードウェアとソフトウェアの連携

3. プロジェクトを通して
■ 本格的にCADを使ったのは初めてだったのですが、必要に迫られて頑張ったことにより、CADを使う能力が身についたと思います。
■ ハードウェアと同等くらいに、ソフトウェアが重要であることを認識しました。
■ 試験飛行で墜落を何度も経験することにより、機体整備の重要性や不測事態への対処法などを学ぶことができました。
■ 何よりも、自作したものを自ら飛ばすことにより、座学では得ることのできない達成感を得ることができました。

   左 CADで作成した図面        中央 完成した機体     右 飛行実験の様子

大会結果

2020年 全⽇本学⽣室内⾶⾏ロボットコンテスト
    - ベストプレゼンテーション賞

2021年 全⽇本学⽣室内⾶⾏ロボットコンテスト
    - マルチコプタ−部⾨第2位
    - ベストパイロット賞

2022年 全⽇本学⽣室内⾶⾏ロボットコンテスト
    - ベストプレゼンテーション賞
    - SkyDrive 制御賞

2023年 全⽇本学⽣室内⾶⾏ロボットコンテスト
                 – ⾶⾏競技(⾃動操縦部⾨)第2位 
                 – 
ベストパイロット賞 
                 – オートデスク賞

2024年 全⽇本学⽣室内⾶⾏ロボットコンテスト   
    - ⾶⾏競技(⾃動操縦部⾨) 第1位 ファナック賞

関連URL

サイトURL
Boeing Higher Education Programhttp://boeing-hep.jp/pbl/
全日本学生室内飛行ロボットコンテストhttp://indoor-flight.com/

関連動画